金曜日, 2月 02, 2007

「イーハトーヴ訪問とグスコーブドリの伝記」

「天上にぎんどろの葉は広がりて
 星のかたちに夜を切りとる」 


これは宮沢賢治の詩品の一つです。

1月の中頃、私は仕事の関係で東北をまわってきました。
その一つとして初めて訪れたのが、岩手県の花巻でした。
ここは賢治のふるさと。賢治は生前岩手県のことを
イーハトーヴと名づけていました。

新花巻の駅には、一段高くなっている県の伝統品の紹介コーナー
の真ん中に、ひときわ異彩を放つ、長い長い角のついた鹿の
お面の像・・・
それは賢治の童話「鹿踊りのはじまり」にも出てくる鹿踊りに
使われるものです。

駅から出張先の会社へ車で向かう途中、
所々に賢治関連の案内図などを目にすることができました。
「イギリス海岸」、「羅須地人協会」など、これまで何度も
本の中で目にしてきた文字の入った看板を見るたびに、
賢治の生まれ故郷に来たことの感慨が増していました。

「イーハトーヴは一つの地名である。
 強で、その地点を求むるならばそれは、
 大小クラウスたちの耕していた、野原や、
 少女アリスが辿った鏡の国と同じ世界の中、
 テパーンタール砂漠の遥かな北東、
 イヴン王国の遠い東へと考えられる。
 実にこれは著者の心象中に、
 この様な情景をもって実在した
 ドリームランドとしての日本岩手県である。
 そこでは、あらゆる事が可能である。
 人は一瞬にして氷雪の上に飛躍し
 大循環の風を従えて北に旅する事もあれば、
 赤い花杯の下を行く蟻と語ることもできる。
 罪や、悲しみでさえ
 そこでは聖くきれいにかがやいている。」
                  賢治


ところで、今年の岩手は暖冬で雪がそこかしこしか見えず、
地元の方たちは、「昨年は50~60センチは積もっていたのに
今年は全然。例年でも30センチは積もっているのに。おかしい。
このままでは後で農作物に被害が出てしまう。」
と、温暖化の話題になりました。

今冬、北半球で例年以上の高温に各地がなっており、
しょっちゅうニュースでも取り上げられています。
星野道夫さんにゆかりあるアラスカのシシュマレフ村でも
とうとう村が海没しはじめ、村の方たちが悲痛な思いで、移住
されているとのことです。

一般に温暖化といったときに、多くの方たちは単純に地球の
気温が高くなっていくようなイメージを持たれていますが、
恐いのは、温暖化がこのまま進めば、氷河は崩壊して海の深くに
流れ込み、地球の温度を調和させている深層海洋水の流れを
止め、氷河期を呼び込むということです。
そうなれば、人類文明はおろか他の生きものたちも含めて、
地球上から多くの生命が消えてしまいます。

まさしく、次代に未来を引き継ぐことはできなくなってしまう・・
私たちはいかに意識を持ち、行動すべきでしょうか。
一人一人ができることは小さなことかもしれませんが、
一歩ずつ行動し、輪を広げていかなければならないでしょう。

私たちがすぐにでもできること。たとえばこんなことも
あります。

http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=14251545&comm_id=1570168


賢治の作品の一つに「グスコーブドリの伝記」があります。
氷河期に入りつつある世界の中で、ブドリは温度を上げるために
火山を噴火させるため、自分が犠牲になり、人々の暮らしを
守ります。

”ブドリは帰ってきて、ペンネン技師に相談しました。
 技師はうなずきました。

 「それはいい、けれども僕がやろう。僕は今年もう63なのだ。
  ここで死ぬなら全く本望というものだ。」

 「先生、けれどもこの仕事はまだあんまり不確かです。
  一ぺんうまく爆発しても、間もなくガスが雨にとられて
  しまうかもしれませんし、また何もかも思った通りいかない
  かもしれません。
  先生が今度お出でになってしまっては、あと何とも工夫が
  つかなくなると存じます。」

 老技師はだまって首を垂れていました。

 それから三日の後、火山局の船が、カルボナード島へ急いで
 行きました。
 そこへいくつものやぐらは建ち、電線は連結されました。
 すっかり支度ができると、ブドリはみんなを船で帰してしまって
 じぶんは一人島に残りました。

 そして次の日、イーハトーヴの人たちは、青ぞらが緑色に
 濁り、日や月が銅(あかがね)色になったのを見ました。

 けれどもそれから三四日立ちますと、気候はぐんぐん暖かく
 なってきて、その秋はほぼ普通の作柄になりました。
 
 そしてちょうど、このお話のはじまりのようになる筈の、
 たくさんのブドリのお父さんやお母さんは、たくさんの
 ブドリやネリと一緒に、
 その冬を暖かい食べ物と、明るい薪で過ごすことが
 できたのでした。」


今、私たち大人に、次代を引き継ぐ子ども達に対しての責任を
果たしていくことが求められています。


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