木曜日, 3月 29, 2007

「失われゆく多様な生命の島、ボルネオ」-☆森のクマさん☆

「類人猿が絶滅に向かって滑り落ちていくのを見るとき、
 私たちは荒廃しつつある地球に住む、私たち自身の未来を
 目撃しているのだ。」


この言葉は、ボルネオ島でオランウータンの研究・保護活動に
生涯をかけているカナダ人の女性霊長類学者、
ビルーテ・ガルディカス博士の言葉です。

24日、ボルネオから帰国しました。
18日に成田発のマレーシア航空機にて、クアラルンプ-ル経由で
コタキナバル空港へ到着。

以後、パートナーの環境NGOからのプロジェクト計画の説明や
現状を聞き、天然林の回復を行っているサバ州の現場サイトへ
移動。
国内線の飛行機で移動し、陸路を車で、水路をボートに乗り、
密生の森の中を片道1~1.5時間歩いての移動、今後のゴール
目標の共有に向けてNGOとの突っ込んだやりとりと、
結構ハードな視察でした。


天然林回復の現場サイトを視察しての帰り道、
先頭を歩いていた村人が突然、
「オランウータンが木の上にいるぞ!」と叫んだ。

興奮しながら、双眼鏡を取り出し、彼が指差す方向の樹木を
見ると、樹高15mほどの巣と思われる場所に茶色い毛をした
『森の人』が。

しかし、なぜだか森の人はじっと動かない。
今まで見てきたテングザルやレッドリーフモンキー、シルバー
リーフモンキーなどは、すぐに木から木へと移っていったという
のになぜだろうか。

同行していたNGOのスタッフが教えてくれた。

『あのオランウータンはね、子供を産もうとしているのよ。
だからあの場所にずっといるの。
その証拠にずっと木を握っているでしょ。』

言われてみると左手を上げながら木を握り締めている。

ボートに乗ってキナバタンガン川を移動していると
様々な野生動物たちに遭遇することができた。
5日前に30頭のゾウの一団が川を渡ったという場所で
巨大なゾウたちの足跡を見ることもできた。

ベリーラッキーといわれて喜ぶ一方で、徐々に感じていたのは、
彼らの生息できる自然環境がどんどん減ってきていること。
野生の動物たちは、いのちの危機を目前にして悲鳴をあげている
のだと。
オイルパームが生息域をますます狭めていく中で、一人の消費者
として責任を強く感じた。

その後も普通は会えないといわれる動物たちに(同行の
カメラマンは夜の森でヒョウを見かけた)遭遇する度に、
その思いはますます強くなっていった。

通常オランウータンが1回の出産で生むのは1頭と言われ、
2歳半~3歳頃に離乳し6歳~9歳頃までは母親と一緒に行動する。
野生下でメスが最初の子を出産するのは13歳~18歳頃と
言われており、出産間隔は6年~9年で、霊長類の中では
最長なのだとか。 

森の人の出産を見届けたいが、もちろんそうすべきでないことを
わかりながら、その場を去るときに

「これから生まれてくるオランウータンとこの母とが、森の中で
どうか無事に一生を終えてほしい」

と強く願わずにはいられませんでした。

ボルネオを去る際にも、そして日本に帰国した今も、思い出す姿。
あの高い木の上で一所懸命に新しい生命を産み出そうとしている
姿を思い出しながら、
同じこの星に生きるものとして心から願っていることです。

そして、この光景を神様が見せてくれたことに深く感謝しながら、
彼らの生命が守られていくよう、NGOや村の人々と協力し、
キナバタンガン川流域の持続的な森林保全が行われていくように
私の役目を果たしていかなくてはと強く思っています。


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ボルネオ島

○一番の印象
 それは、生命の姿が見えないオイルパーム(やし油)の畑。

 飛行機の眼下から見えるのは、いたるところに広がる
 オイルパームの農園。
 陸路の車窓から見る外の景色は、街中を少し離れると
 見えてくるのは一面のオイルパームの姿ばかりで、途中から
 見るのが嫌になったほどでした。

○野生生物の減少
 このオイルパーム畑が拡大する一方で、野生生物たちの生息域
 である天然林は減り続け、様々な生命が絶滅の危機にあります。

 絶滅の危機にあるマレーグマ、スマトラサイ、オランウータン
 や他の生き物たち。
 森の人の意味であるオランウータンは、ボルネオ島とスマトラ
 島だけにしか生息しておらず、すでに個体数は3万を切ったと
 いわれています。

○拡大するオイルパーム

 マレーシアは世界最大のオイルパーム生産地。
 2位がインドネシアで、両国で世界の約9割の生産量を誇って
 います。その大半はボルネオ島からの生産です。

 アマゾンと並んで「地球の肺」とも言われる、ボルネオ島の
 熱帯雨林ではヤシ油原料のオイルパーム植林のため、数年間で
 四国の面積に当たる180万haの原生林が伐採されたと
 いわれています。
 (サバ州では1984~2004年の20年間でオイルパーム農園の
 面積は7倍以上に増え、州土の20%以上に広がったそうで、
 広がった面積のうち6割は天然林を伐採したものだとか)

○日本とのつながり
 日本はオイルパームの大量輸入国であり、8割以上が食品に
 使われています。
 成分表示には、単に植物油、植物油脂と書かれていることが
 多いようです。日本では”環境にやさしい”製品としてCM
 などでも流されており、消費者の大半はそう信じ込んでいる
 ことでしょう。

○オイルパーム農園の問題
 天然林の破壊と野生生物の減少だけにとどまらず、多くの問題
 を生み出しています。
 先住民族の生活環境圧迫、インドネシアやフィリピンなどから
 の不法労働者、山火事、土壌浸食による河川の洪水など様々な
 悪影響を社会に与えています。

○多民族国家マレーシア。
 この国でも多の国と同様に、都市の中での格差、都市と農村との
 格差が見られ、人々は皆それぞれの環境の中で生き抜こうとして
 います。

オイルパームは、現地に暮らす多くの人々の生活の糧でもあり、
また農園経営は大資本から個人経営の形態があり、さまざまな
欲望が見え隠れし、利害関係は非常に多く複雑に絡んでいます。

他のプロジェクト地域と同様に今回も痛感したことは、
同じ土地の中で人間が生きるということ、野性生物たちが生きる
という共生の難しさでした。

先進国の物質主義の果てにある飽食やモノカルチャーの中で、
資源の供出により豊かさを追い求める途上国の人々、
自然の大切さと限界を知る小数の人々がいます。

非持続的な物質主義の限界が見えている現在、
資源を提供してくれている地元の人々の生活と自然環境が
保全されていくことを、消費者である私たちがきちんと考え、
購買の選別を意識して行っていくことが求められています。

それは同じ地球に生まれたものとしての責任だと思います。


お越しいただき、ありがとうございます。共感したら、Click me! 

1 件のコメント:

aoi さんのコメント...

初めまして。パーム畑による環境破壊その他の問題は聞いてはいたんですが、自分はきっと知らず知らずのうちに食しているだろうし、洗濯石けんにも食用のパームオイルが原料のものを使っています。。使い心地がいいので、思わずずっと使っていこうかと思ったんですが。。考えな直さないといけませんね。とてもいいサイトに巡り合えて嬉しいです。また寄らせていただきます。

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