日曜日, 9月 02, 2007

精神の風が、粘土の上を吹いてこそ、はじめて人間は創られる-サン=テグジュぺリ

サン=テグジュぺリ、
「星の王子さま」の作者である彼は、職業飛行家でもあり、
15年間の飛行家としての日々の中で、砂漠の不時着以外にも
いくつもの困難に遭遇し、その度に自身の持つ強靭な意志で
打ち勝ってきました。

彼は、この飛行家という職業を通して大自然と接触し、自我を
深く掘り下げ、人間の真実の発見に努めました。


「ぼくら人間について、大地が、万巻の書より多くを教える。
 
 理由は、大地が人間に抵抗するがためだ。
 人間というのは、障害物に対して戦う場合に、
 はじめて実力を発揮するものなのだ。

 もっとも障害物を征服するには、人間に、道具が必要だ。
 人間には、鉋は必要だったり、鋤が必要だったりする。
 
 農夫は、耕作している間に、いつか少しづつ自然の秘密を
 探っている結果になるのだが、こうして引き出したもので
 あればこそ、はじめてその真実その本然が、
 世界共通のものたりうるわけだ。

 これと同じように、定期航空の道具、飛行機が、
 人間を昔からのあらゆる未解決問題の解決に参加させる
 結果になる。


 ぼくは、アルゼンチンにおける自分の最初の夜間飛行の
 晩の景観を、いま目のあたりに見る心地がする。
 それは、星かげのように、平野のそこここに、
 ともしびばかりが輝く暗夜だった。

 あのともしびの一つ一つは、見渡すかぎり一面の大海原の
 中にも、なお人間の心という奇跡が存在することを
 示していた。

 あの一軒では、読書したり、思索したり、打明け話をしたり、
 この一軒では、空間の計測を試みたり、アンドロメダの星雲に
 関する計算に没頭しているかもしれなかった。
 またかしこの家では、人は愛しているかもしれなかった。

 それぞれの糧を求めて、それらのともしびは、
 山野の間にぽつりぽつりと光っていた。

 中には、詩人の、教師の、大工さんのともしびと思しい、
 いともつつましやかなのも認められた。

 しかしまた他方、これらの生きた星々のあいだにまじって、
 閉ざされた窓々、消えた星々、眠る人々がなんと
 おびただしく存在することだろう・・・


 努めなければならないのは、自分を完成することだ。

 試みなければならないのは、山野の間にぽつりぽつりと
 光っているあのともしびたちと、心を通じ合うことだ。

 
 たとえ、どんなにそれが小さかろうと、
 ぼくらが自分達の役割を認識したとき、
 はじめてぼくらは、幸福になるうる。

 そのときはじめて、ぼくらは平和に生き、平和に死ぬことが
 できる。
 なぜかというに、生命に意味を与えるものは、また死にも
 意味を与えるはずだから。

 ”精神の風が、粘土の上を吹いてこそ、
             はじめて人間は創られる。”」
 

自分の生まれてきた意味を知り、
自分の役割を果たしていくことが大事なことなのですよね。


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アントワーヌ・ド・サン=テグジュぺリ

1900年6月29日フランスのリオン市に生まれ、
1944年7月31日、フランス解放戦争に従軍中、偵察を目的に
単身ライトニング機に搭乗、飛び立ったまま、
地中海上で行方不明となった。
ナチスの戦闘機隊と遭遇し、多勢に無勢、撃墜されたものと
信じられている。


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